先月2017年9月の末ごろから現在にかけて、私のアドセンス広告の収益が伸び悩んでいます。アドセンス広告を配置しているPV数は増加しているのにもかかわらず、見込み収益が下がっているので、おかしいなあと思っていたんですよね。
それで、とある方から「それはもしかしたらITPが関係しているかもしれない」と言われ、いろいろと調べてみました。…っていうか、ITPって何?
ITPとは?
ITPとは「Intelligent Tracking Prevention」の略で、一種のトラックング防止機能のことをいいます。2017年9月末にアップデートされたSafari11.0にデフォルトで搭載されているもので、サードパーティのCookieを対象に作用するものです。
このITPが広告配信に与える影響は小さくありません。特にリターゲティング、リマーケティング広告など、サードパーティのCookieをもとにした追跡機能を持った広告メニューの配信が制限されると考えられています。
リターゲティング広告とは
リターゲティングというのは、主に広告配信側の情報サイトなどによく出てくる単語ですが、簡単にいうと、一度広告主のサイトを離脱したユーザーを追いかけて同社の広告配信を行うというものです。
1度はサイトを訪問してくれたユーザに対して、繰り返し広告を出すことができるので、再訪問させることによりコンバージョンに結びつけやすくなります。
GoogleやYahoo!でも利用されているシステムですが、正確にはGoogleではリマーケティング、Yahoo!ではサイトリターゲティングと読ばれています。
リターゲティング広告とアドセンス報酬
リターゲティング広告を配信することで、逃げてしまったユーザを追いかけ、コンバージョンを上げることにつながりますから、私たちアフィリエイターやブロガーのアドセンス収益もその恩恵を受けているはずです。…というか、受けていたんでしょう、これまでは。
ところが、今回導入されたITPは、そのリターゲティング広告を制限するものなんです。これは、リターゲティング広告がCookieを使っているからで、ITPはCookieの有効期限を極端に短く(24時間)してしまいます。こうすることで広告の追跡を阻止するためのものなんです。
このITP機能を導入しているのは、ブラウザSafariです。ですので、影響があるのはSafariを使用しているユーザーに限ります。しかし、日本のスマホ市場でiPhoneのシェアは非常に大きいですし、それにデフォルトで入っているSafariをそのまま使っている人は多いです。
私のアドセンス収益を見ても、スマホユーザーからのアクセスが多い、美容・健康系が一番影響を受けています。
ITPって何のためのもの?
このITPという機能を搭載したのはApple社ですが、今回の件については広告関連団体から批判が殺到しているそうです。しかし、Apple社はITP機能の継続に強気の態度を見せているようですね。
私たち側から見ると、何でそんなもの作ったの?と思いますが、本来の目的は、ユーザーのプライバシーを保護することです。ある広告サイトを訪れたその後も、たとえ購入した後でも、同社の広告が追いかけてくる…、こういう広告配信に対するストレスを減少させるものでもあります。
ですから今回のITPに対して広告配信側が何らかの対策を行うとしても、その代替としての機能が開発されるかもしれません。また、今回はSafariだけですが、今後他のブラウザもその機能を導入し始めないとも限りません。
ASPのトラッキングにも影響が
また、このITP機能は、アドセンスなどのリターゲティング広告だけに影響を及ぼすものではありません。サイトを訪問してから24時間以降のコンバージョンを測定できないことになりますので、ASP各社の広告計測にも影響を与えます。つまり、24時間以降の再訪問に対して広告効果が反映されないかもしれないんです(ASPがサードパーティーCookieを利用している場合)。
これに関して、さっそくアクセストレードからはアナウンスがありました。本日のメールによると、「サードパーティーCookieではなくファーストパーティーCookieによる広告計測に対応」し、その機能に関するタグ設置を順次提供するとのことです。
私も専門家ではありませんが、Cookieには、ファーストパーティーCookieとサードパーティーCookieの2種類があるそうです。ちなみに、Googleアナリティクスは、サードパーティーCookieではなくファーストパーティーCookieを使用しているため、今回のITPの影響は受けないらしいです。
今回参考にさせていただいた記事
ITPがWeb広告に与える影響について|リスティング広告の運用代行
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